2020年8月21日 ゲスト・なぎら健壱~後編~


【放送内容】

*戦後最大のヒットを記録し、未だその記録が破られていないシングル盤レコードがある。

1975年リリースの「およげ!たいやきくん(子門正人)/いっぽんでもニンジン(なぎらけんいち)」。なぎらさんご本人によると、実は「いっぽんでもニンジン」は1973年に番組挿入歌のオムニバスアルバムに収録され、既にリリース済み。「たいやきくん」のシングル盤制作にあたり、カップリング曲(両A面)として選ばれたのだった。

*「戦後最大のヒット曲なのに、歌手は『買取』で数万円しかもらえなかった」というハナシも、このレコードには今なお付いて来る。

「最初に『何枚作るんですか?』と訊いたら『童謡扱いで5,000枚でしょうね』と。『ちょっと待って、(歌唱印税は)1枚いくら?』『1円』『全部売れて5,000円ですか??』って訊いたら、『なぎらさん……。全部売れる訳ねぇじゃない!』って」(なぎら健壱)

では2~3,000円ということもあり得るのかと問うなぎらさんに、担当者は「あり得ますねぇ」と返す。買取ならば?と訊くと、「じゃぁ3万円出しましょう」という回答。

「2~3,000円と3万円比べたら、普通3万円を採るでしょう?すぅ~っと手が出て、その手の上に3万円がトントントン…っと。1万円事務所に取られて、(自分には)2万円。それが戦後最大のヒット……」(なぎら健壱)



*もしタイムマシンがあって、「その先」が見えていたならば……と周囲は嘆息を漏らすが、

「あの曲は<企画モノ>。『こういう番組がありますのでそこでこう歌ってください』という指示に則って歌っただけだから。私はそれが売れたかどうかは全く気にならなかったし、こういう所(TVなど)では面白可笑しく『口惜しくて口惜しくて』なんて話すけど、何でもなかったです」(なぎら健壱)

もっとも、後で「たいやきくん」を歌った彼だけがボーナスを支給されていたと耳にした時は心穏やかではなかったそうだが、それでも周囲が思う程には、なぎらさん自身は「口惜しさ」は感じていないのだそう。「たいやきくん」は1975年の<流行りうた>だった。流行りうたはいずれ廃れる。「いっぽんでもニンジン」はその後も長年に渡り、幼稚園・保育園で愛唱され続けた。数え切れないほどの子どもたちが、なぎらさんの歌声と共に「数」に親しんでいったのである。



*歌手であるのみならず、作家・俳優・エンターティナーとして様々に活躍するなぎら健壱のライフワーク。それは、吉祥寺のMANDA-LA2で開催するマンスリーライブ。その歴史は既に40年に及ぶという。

「やっぱりバックボーンは歌手ですからね。今、例えば漫才師がちょっと売れちゃうとすぐ司会に回ってそんなのばっかりやっちゃって、芸が疎かになって漫才やっても面白くないじゃないですか。それだけはイヤですね。(自分から)歌を取ってしまうと中身がなくスカスカになってしまう、それだけは避けたいですね」(なぎら健壱)



*最近はカントリーミュージックのステージにも立つ。2020年は2月にカントリー&ウエスタンの祭典「ジ・オープリー2020」に出演した。

「カントリーのところへ行くと『日本語で歌って中途半端』と言われるんですよ。で、フォークのところへ行ってカントリーっぽくやると『フォーク中途半端』。両方から中途半端って言われるんです」(なぎら健壱)

ご本人は自虐めいた口調だが、スチールギターやフィドル(バイオリン)を交えた音作りは、なぎらさんが長年保ち続けているスタイル。番組では日本のカントリーミュージックの歌姫たちと共演した「天使がいた街」をお聞きいただいた。

*デビュー50周年を迎えるなぎらさん、多彩な活躍の中で最近はフォークにまつわる本を書き上げたばかりという。最近はあまり「到達点」を持たないようにしているとのこと。

「そこに到達するとガクッとなっちゃうのがイヤなんですよ。だけど形として~本でもCDでも~残るものを。我々は<人々の心に植え付ける>のが仕事ですからね。それだけでなく形として残るものをちゃんとしておかないといけないかな、と考えていますね」(なぎら健壱)



【エピソード】

*前述の「いっぽんでもニンジン」、自らセットリストに加えることはないが、リクエストされれば歌うこともある。

「この間はフジロックで歌ったんですよ。さすがにシーンとするかなと思ったら、5~6千人が『イチッ!ニィッ!』って(笑)<その時代>に育ってるんだ…って」(なぎら健壱)

「フジロックとか、今も続いているイベントは、結構世代が高いんですよね。今の人は出ないから。ぼくらの時代の人もみんなまだ歌っているけど、それを観に来ていた人たちもみんな続いているんですよね。だからぼくらもずっとできるのかな」(東郷昌和)

*番組ナビゲーター・東郷昌和は、今回なぎらさんとは数十年振りの再会になるという。実はこの日、彼にはどうしても確かめたいことがあった。とあるテレビ番組、なぎらさんと坂崎幸之助がレコードをかけながらトークを展開する。テーブルに並べられたレコードの中の1枚が、BUZZのもの。なぎらさんはそのジャケットに写る昌和さんを指さし一言「ぼくこの人に虐められたんですよね」。

嘘だ、そんな筈はない!昌和さんが『虐められた』の真意を問うと……。

「70年代、ロンドンブーツが流行ってたんですよ。どっかのコンサートで一緒になった時に、アタシが前を歩いてたんですよ。とんとんっ、とアタシの肩を(昌和さんが)たたいて…アタシの脚の長さを見たんでしょうねぇ…『なぎらさんもロンドンブーツ履いた方がいいですよ』って」(なぎら健壱)

なぎらさんは一言答えた。「今履いてます」




【使用楽曲】

いっぽんでもニンジン(なぎらけんいち)前田利博作詞/佐瀬寿一作曲

♪永遠のきずな(なぎらけんいち)カーター・ファミリー作詞・作曲/なぎらけんいち訳詞/ヒロ柳田編曲

天使がいた街(なぎら健壱+石田美也+関谷真奈美)なぎら健壱作詞・作曲






協力:株式会社ルーツ

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