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2020年9月18日 ゲスト・藤田恵美(ル・クプル)


【放送内容】

*冒頭でお聴きいただいたのは「ケンとメリー」。<名曲アワー>をご覧の皆様にはお馴染の、BUZZのデビューシングルとなったこの曲を、藤田恵美が最新アルバム「ココロの時間」でカヴァーしたもの。

*前回までのゲストはMCの昌和・Mamiコンビと同い年の方々が続いたが、藤田さんは彼らより10歳以上若い。しかし彼女が歌った最初のレコードは50年前に数十万枚のヒット盤となった。その曲が「老人と子供のポルカ」。名優・左卜全と共に歌う劇団ひまわりの少女5人組《ひまわりキティーズ》のメンバーのひとりが、他ならぬ藤田さんだった。

*幼い頃から子役としてドラマにも出演していた藤田さん。《ひまわりキティーズ》の活動のあと一旦劇団を退団するが、スカウトを経て13歳で演歌歌手・英実加(はなぶさ・みか)としてデビュー、シングル「母の雨」(遠藤実作曲)をリリースする。

*その後の《ル・クプル》などの活動とは随分かけ離れた<演歌>というジャンルだが。

「私はもともと13歳だったので、演歌の世界が解らないまま歌っていたんですね。どちらかというとポップスとか、当時のアイドルが好きだったんです」(藤田恵美)

そして中学3年になると、藤田さんはオリビア・ニュートン・ジョンやABBAなどを好んで聴くようになる。曰く「英語できれいな声で歌う人のものを好んで聴いていた」。そして中学卒業後、藤田さんの好みはカントリーやブルーグラスへ移っていった。演歌歌手としての活動は、中学3年で受験準備、そして「普通の中学生の生活がしたい」という理由で終了した。



*洋楽への強い興味、そしてライブハウスでカントリー・ブルーグラスなどを歌う経験は、ル・クプル時代に「得意分野を生かしたものを」という提案から2001年に初のソロアルバム「camomile(カモミール)」に結びついていく。聴きながら眠りに落ちるような、癒しの歌声とアコースティックアレンジが心地よい洋楽カバー集だ。リラックス効果のあるハーブの名を冠するこのアルバムから、番組ではエルトン・ジョンのカヴァー「ユア・ソング」をお聴きいただいた。



*《ル・クプル》としても、94年のデビューアルバム「hide & seek」は60~70年代の日本のポップスが曲目に並ぶ。

「かくれんぼという意味なんですが、ニューミュージックという言葉が出る以前の<隠れた名曲>を探してカバーするというアルバムでした」(藤田恵美)

シングルカットされた「海の底で歌う唄」は《モコ・ビーバー・オリーブ》の1969年リリース曲がオリジナルである。このアルバムでは他にもGAROの「美しすぎて」やザ・タイガースの「落葉の物語」、またジャックス、キャッスル&ゲイツなどを取り上げている。

*《ル・クプル》最大のヒット曲「ひだまりの詩」はデビューから3年後の1997年のリリース。ドラマ「ひとつ屋根の下」の挿入歌として採用された事からヒットに結びつき、ル・クプルはその年の紅白歌合戦に紅組で出場した。なお、対する白組は郷ひろみの「お嫁サンバ‘97」だったとか。(後編へ)



【エピソード】

*「老人と子供のポルカ」は当時ポリドールでザ・タイガースを手掛けていた松村ディレクターが制作。先だって他社でヒットした「黒猫のタンゴ」に対抗すべく企画された。「<子供>の歌がうけるのなら、<老人>の歌もいけるのではないか」という発案だったという。その狙いが当たったのかレコードは見事ヒットし、《左卜全とひまわりキティーズ》はその年の歌番組にも多数出演する。幼い藤田さんから見た名優・左卜全はどのような人だったかというと、

「面白いおじいちゃんでしたね。楽しくて優しくて。ただ…歌詞をよく間違えるというのが印象に残っていますね」(藤田恵美)

*《英実加》時代は、当時の演歌歌手によくある<ミカン箱に乗って店頭歌い>も経験した。雪ふる東北でミニスカートで歌ったり、八百屋の店先やショッピングセンターの下着売り場の前でマイクを持った記憶も残っているそう。

「僕たちもそういう(若い演歌歌手の)子たちと出会って、十代でというのが全面に出ていて。ミカン箱の上で歌ってて。何だか可哀想だな、大変だな~と思って見てましたね」(東郷昌和)





【使用楽曲】

♪ケンとメリー(藤田恵美)オリジナル/BUZZ(1972年)

♪そよ風の誘惑(オリビア・ニュートンジョン)

♪老人と子供のポルカ(左卜全とひまわりキティーズ)

♪ユア・ソング(藤田恵美)オリジナル/エルトン・ジョン(1970年)

♪海の底でうたう唄(ル・クプル)オリジナル/モコ・ビーバー・オリーブ(1969年)









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